JAとは?
JA(日本の農業協同組合)の概要
農業協同組合
JAは、1992年から使用されている日本の農業協同組合(農協)の愛称です。JAは、人々が連帯し、助け合うことを意味する「相互扶助」の精神のもとに、組合員農家の農業経営と生活を守り、より良い地域社会を築くことを目的としています。
JAは、組合員の農業経営・技術指導や生活についてのアドバイスを行うほか、生産資材や生活に必要な資材の共同購入を行ったり、農産物を共同で販売したり、農業生産や生活に必要な共同利用施設の設置などを行っています。また、貯金の受け入れや融資を行う信用事業や万一の場合に備える共済事業などさまざまな事業や活動を行っています。
JAは、正組合員のほか、准組合員制度があります。農業者以外でも、正組合員同様JAごとに定めた一定の出資金を払えば、准組合員として組合に加入できます。准組合員は、JAの事業を正組合員と同じように利用できますが、総会での議決権や役員の選挙権などJAの運営に関与できません。
JAは、組合員の参加と結集を基本に事業・活動を行う組織です。具体的には、農業生産に必要な肥料や農薬などの資材を共同で購入したり、農産物を共同で販売したりしています。JAの組合員である農業者は、消費者でもあり、日常的な生活資材の提供も行っています。
静岡県のJAでは、組合員・地域の期待に応えるため、農業を主軸とした協同組合になるため、時代の変化にともない常に様々な取組みを行っています。また、地域活動として、食育・食農、地域安全、地域美化、生活文化などの活動を行っています。
JA綱領 ―わたしたちJAのめざすもの―
わたしたちJAの組合員・役職員は、協同組合運動の基本的な定義・価値・原則(自主、自立、参加、民主的運営、公正、連帯等)に基づき行動します。そして、地球的視野に立って環境変化を見通し、組織・事業・経営の革新をはかります。さらに、地域・全国・世界の協同組合の仲間と連携し、より民主的で公正な社会の実現に努めます。
このため、わたしたちは次のことを通じ、農業と地域社会に根ざした組織としての社会的役割を誠実に果たします。
わたしたちは、
- 地域の農業を振興し、わが国の食と緑と水を守ろう。
- 環境・文化・福祉への貢献を通じて、安心して暮らせる豊かな地域社会を築こう。
- JAへの積極的な参加と連帯によって、協同の成果を実現しよう。
- 自主・自立と民主的運営の基本に立ち、JAを健全に経営し信頼を高めよう。
- 協同の理念を学び実践を通じて、共に生きがいを追求しよう。
静岡県のJAのめざす姿
静岡県のJAグループは、組合員と地域の期待に応えるために、農業を主軸とした協同組合を目指しています。そのために、時代の変化に対応するための様々な取り組みを行っています。具体的には、農の豊かさを次世代に伝え、暮らしの豊かさを組合員・地域住民に提供し、心の豊かさを地域とともに育むことを目指しています。
コロナ禍や自然災害の激甚化、生産資材の高騰、組合員の高齢化や人口減少など、農業やJA経営を取り巻く環境変化に対応し、地域社会にとって必要不可欠な存在であり続けるため、JAの原点である農業振興と、環境変化に対応した経営基盤の確立に、JAグループ全体で取り組んでいます。
静岡県のJAグループの『めざす姿』
わたしたち静岡県のJAグループは、
- 農の豊かさを次世代に伝えます。
- 暮らしの豊かさを組合員・地域住民に提供します。
- 心の豊かさを地域とともに育みます。
JA静岡3か年計画 ~農業と地域の未来をつむぐ“協同の力”~
静岡県のJAグループは、令和6年12月の第54回静岡県農業協同組合大会において、令和7~9年度の指針となる「JA静岡3か年計画 ~農業と地域の未来をつむぐ“協同の力”~」の樹立・実践を決議しました。
JAグループが将来にわたって組合員の営農と生活に貢献していくためには、事業環境の変化に対応して事業のあり方ややり方を見直しながら、組合員個々の営農と生活に即した事業・活動を通じて、
つながりを維持していくことが必要と考えています。
このため、次期3か年計画においては、協同組合の原点である「人」に焦点を当て、JAの事業を通じて組合員、職員の満足ややりがいを高めることを目指して取り組みます。
目標1 産地の維持・拡大に向けた生産基盤の強化
重点施策1 生産部会の「めざす将来像」による農業所得向上と産地維持
重点施策2 地域農業を支える多様な担い手の確保
施策1 地域農業をマネジメントする営農企画機能の強化
施策2 農業振興に資する政策の確立・推進
施策3 組合員の農を支える事業活動
目標2 事業環境の変化に対応しうる経営基盤の構築
重点施策1 事業運営の最適化に向けた実践
重点施策2 エンゲージメント向上につながる人的資本経営の実践
施策1 女性のJA運営参画の促進
施策2 健全経営に向けた内部統制の確立・強化
施策3 組合員のくらしを軸とした総合事業の展開
目標3 JA運営を支える組織基盤の強化
重点施策1 組合員・地域住民の農業・JAへの理解・共感の醸成
重点施策2 組合員の維持・拡大と関係深化
重点施策3 組合員の学びの場づくり
施策1 組合員組織の活性化と事業・活動を通じた仲間づくり
※JA静岡3か年計画大綱(ダイジェスト版)は こちら
組織
JAは、組合員の参加と結集を基本に事業・活動を行う組織です。具体的には、農業生産に必要な肥料や農薬などの資材を共同で購入したり、農産物を共同で販売したりしています。
JAの組合員である農業者は、消費者でもあり、日常的な生活資材の提供も行っています。また貯金、貸出などの信用事業や、生命、建物、自動車などの共済事業、高齢者福祉、健康管理、旅行など幅広い事業を展開しています。
事業紹介
指導事業
JAは、営農・生活指導などを含む指導事業に取り組んでいます。指導事業は収益を生み出さないものの、組合員の農業経営の改善や生活の向上を目指し、組合員のニーズに応じた研修の機会を提供したり、営農技術の指導を行っています。これらの活動はJAの基盤となる事業であり、組合員へのサービス事業として位置づけられています。これにより、組合員のJAに対する理解と支持が深まることが期待されています。
販売事業
JAは、農業者が生産した農産物を集荷し有利に販売する販売事業を展開しています。この「共同販売」は、農畜産物の数量と品質を一定に保つことで、市場での有利な販売を可能にします。販売事業は、市町村、都道府県、全国の3段階制で機能分担が行われ、より効果的な販売が実現されています。
また、消費者の安全志向に対応するため、JAグループは生産履歴の記録などの安全対策を講じ、安全で信頼される国産農畜産物の生産・流通に努めています。さらに、流通コストの削減や手数料の見直しにより、生産者組合員の収入を増やす取り組みも行っています。
購買事業
JAの購買事業は、農業者に肥料、農機具、飼料などの生産資材と生活資材を安く、良質に、安定的に供給するものです。この事業は、営農活動に必要な品目の供給を行う生産資材購買と、生活に必要な品目を供給する生活資材購買の2つに分かれます。組合員からの予約注文を受け、スケールメリットを活用してメーカーと交渉し、低価格で良質な資材を提供します。
また、JAグループ自身が生産して組合員に供給することもあります。この事業の効率的な展開のため、各単位JA、都道府県のJA経済連・全農県本部、全国段階のJA全農で機能と役割の分担が行われています。
信用事業
JAの信用事業は、組合員からの貯金を原資にして貸出を行うもので、JA・JA信連・農林中金が一体的に金融サービスを提供します。JAは組合員から貯金を預かり、それを原資にして貸出を行います。余裕金の大部分はJA信連へ預けられます。
JA信連はJAの余裕金を預かり、それを原資にしてJAグループやその他の貸出を行います。余裕金の多くは農林中金に向けられます。農林中金はJA信連からの預金を調達し、JAグループや系統機関に資金を融資し、金融市場・資本市場で資金運用を行います。
共済事業
JA共済事業は、非営利の保険事業で、組合員を対象に相互扶助の理念の下で実施されています。生命と損害の両分野の保障を提供し、組合員・利用者のニーズに応えます。JAは手続きの窓口となり、JA共済連と一体となって事業を運営します。契約者からの掛金は適切に運用・管理され、事故や満期の支払いに備えます。また、交通事故対策活動などの社会貢献活動を通じて、安心して暮らせる地域社会づくりに努めています。
厚生事業
JAの厚生事業は、農村地域での医療提供を目指し、1919年に島根県青原村で始まりました。農村地域では医療施設が不足しており、農作業による病気や労働災害も問題となっています。これに対応するため、JAグループは病院の経営や、組合員・地域住民への健康診断や運動・栄養指導などの保健指導を行っています。
また、高齢者福祉事業や看護師の養成など、保健・医療・高齢者福祉事業を総合的に展開しています。これらの活動を通じて、JAグループは農村地域の健康と福祉の向上に貢献しています。
高齢者福祉事業
JAの高齢者福祉事業は、高齢化が進む農家組合員の生活を支援するための事業です。農家の高齢化率は30%を超え、都市部よりも10年早く進行しているとされています。このため、健康管理や介護が必要な高齢者の問題が増えており、個々の組合員が家庭内で対応することには限界があります。
これらのニーズに応えるため、JAグループは高齢者の生活を支援する観点から、高齢者福祉事業に取り組んでいます。地域福祉を支える担い手として、組合員や地域住民とともに取り組むことで、JAは地域社会に貢献しています。
資産管理事業
JAの資産管理事業は、組合員の土地利用や相続に関する相談を通じて、農業的および都市的土地利用を計画的に活用し、組合員の資産を保全し、農地を次世代に継承することを目指しています。
この事業では、組合員の相談業務やコンサル業務などの一連の指導業務、農地を宅地等として供給する事業、土地活用としての賃貸施設の建設や管理受託、相続税納税対策としての土地売買など、JA事業(購買・信用・共済事業等)を通じた支援業務を行っています。
旅行事業
JAの旅行事業は、農村・農家の旅行需要に対応し、組合員の生活やJAの組織活動に関連する旅行を提供しています。これには家族旅行、新婚旅行、夏休み子ども村などの旅行や、各種部会旅行、友の会旅行、農業視察旅行などが含まれます。この事業は、組合員の余暇の充実や営農技術の見聞を広げることを目的としています。また、JAの旅行事業は主に(株)農協観光の代理店であるJA旅行センターを通じて行われ、1986年に第1号店が設置され、現在では155のJA(164店舗)で旅行事業を営んでいます。